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新設予定の分野

物流倉庫

 特定技能「物流倉庫」追加!2027年開始

「求人を出しても反応がない」「繁忙期,派遣スタッフの確保すら難しくなっている…」といった切実な悩みを,物流倉庫の現場でお持ちではないでしょうか。

EC市場の拡大と「物流2024年問題」の影響を受け,倉庫業における人手不足は,もはや経営の根幹を揺るがす深刻な課題です。こうした状況を打破すべく,日本政府は大きな舵を切りました。
2026年1月23日,特定技能制度の対象に,待望の「物流倉庫」分野の追加が閣議決定されました。
この決定により,これまで「製造業」などの枠組みでの受け入れが主流だった倉庫作業において,正面から外国人材を雇用する道が明確に開かれます。ただし,新制度には「派遣禁止」や「DX要件」など,従来の雇用慣行とは異なる「独自のルール」が多数盛り込まれています。

1.特定技能に「物流倉庫」分野が追加!【2027年4月施行予定】

特定技能制度は全19分野へと拡大されることになりました。物流倉庫での外国人材の受け入れを検討する際,まず把握すべきは「いつから,どれくらいの規模で」制度が始まるのかという全体像です。

(1)2026年1月閣議決定から就労開始までの流れ

2026年1月23日の閣議決定を経て,現在は2027年春の本格始動に向けた準備フェーズに入っています。

ここで注意が必要なのは,2027年4月になってから動くのでは遅いという点です。 特定技能ビザを取得するには,雇用契約の締結や登録支援機関との連携,入管への申請など,多くの準備期間が必要です。
※入管への申請期間の目安は他分野の実績から2〜3ヶ月程度ですが,新設分野のため余裕を持った体制整備が欠かせません。

(2)受入上限は3年間で11,400人。早期準備が鍵となる理由

政府は,2026年度からの3年間で,物流倉庫分野における受入上限数を「11,400人」と設定しました。
全国の倉庫業・運送業の事業所数を考えると,決して余裕のある枠ではありません。 このため,早い段階で「枠」の争奪が予想されます。

  • 「育成就労制度」との連携: 新設される育成就労制度(旧・技能実習に代わる制度)からの移行も見込まれており,限られた枠を争うことが予想されます。
  • 物流DXへの対応: 今回の改正の目的には「物流の効率化(DX)」が含まれています。ITシステムの利活用という要件に対応できる「質の高い人材」は限られているため,早期に受け入れ体制を整えた企業による確保競争が激化することが予想されます。

枠が埋まってしまえば,どれほど人手が足りなくてもビザの許可は下りません。まずは制度を正しく理解し,自社が要件を満たせるか確認することが,2027年4月のスタートダッシュを決める絶対条件です。

2.自社は対象?受入可能な企業・事業所の要件とは?

「うちは大手倉庫の一部を借りて作業している下請けだけど,対象になるの?」「運送免許はあるけれど,倉庫業の登録はしていない……」

こうした疑問をお持ちの経営者・人事担当者の方は多いはずです。今回の特定技能「物流倉庫」分野は,門戸が広がった一方で,どの箱(事業形態)で申請するかが非常に厳格に定められています。

(1)倉庫業者・運送業者・受託事業者の3区分を徹底解説

新制度において,特定技能外国人を受け入れられる企業は,大きく以下の3つのいずれかに該当する必要があります。

1. 倉庫業者: 倉庫業の登録を受けた倉庫業者で,倉庫作業を自ら実施する事業者。
2. 貨物自動車運送業者: 自ら運送業の許可を持ち,その事業に附帯して倉庫内作業を行っている事業者。
3. 受託事業者: 上記1の「倉庫業者」から委託を受けて, 当該倉庫業者の占有する倉庫において作業を実施する事業者(いわゆる構内荷役会社など)。

(2)「構内荷役(下請け)」でも受入可能。ただし「協議書」が必須に

下請け・孫請けとして倉庫内作業を請け負っている企業にとって,今回の改正は大きなチャンスです。しかしながら,行政書士の実務目線で最も注意すべきは,「従来との違い」です。
それは,委託元と締結する「雇用の継続性に関する共同責任の協議書」の提出が求められる点です。
従来の就労ビザ申請では,自社の雇用契約書や決算書が中心でしたが,物流倉庫分野では以下の点が厳しくチェックされます。

  • 契約の安定性: 元請けとの契約が突然打ち切られ,外国人が路頭に迷うリスクはないか。
  • 共同責任の明文化: 万が一,受託事業者が倒産等をした場合,委託元も雇用の継続について協力的な姿勢を見せているか。

この「協議書」は,単なる事務的な書類として扱えません。元請け企業との権利義務関係に関わるため,「元請けにどう説明し,納得して判を押してもらうか」という高度な調整が必要不可欠です。もしここを疎かにすると,入管の審査で「雇用の安定性なし」と判断され,不許可となるリスクがあるのです。

【専門家の視点】見落としがちな書類の落とし穴
申請時には,事業所が要件(倉庫業の登録やその委託など)を満たしていることを客観的に証明する書類の提出が求められることが予想されます。単に「倉庫として使っている場所」というだけでは要件を満たさない可能性があるため,厳密な確認が必要です。

3.【重要】特定技能「物流倉庫」で絶対に注意すべき3つの制約

「繁忙期の1ヶ月だけ人数を増やしたい」「今まで通り,派遣会社からスタッフを回してもらえばいいのでは?」
もしそうお考えであれば,少し立ち止まってください。特定技能「物流倉庫」分野には,これまでの業界の常識を覆す「3つの厳しい制約」が存在します。これらを知らずに計画を立ててしまうと,ビザが不許可になるだけでなく,コンプライアンス違反に問われるリスクすらあります。

(1)人材派遣はNG!「直接雇用・フルタイム」が絶対条件

物流現場の多くは,季節変動や荷物量に応じた「人材派遣」によって支えられています。それにもかかわらず,特定技能「物流倉庫」では,派遣労働による受け入れは一切認められていません。

  • 改正の目的: 外国人労働者の権利を守り,中長期的なキャリア形成を支援するため,雇用主が責任を持つ「直接雇用」を前提としています。
  • 実務上の違い: 従来のように派遣会社へ「明日〇〇人お願いします」といった柔軟な調整はできません。日本人と同等以上の給与額の証明や,社会保険への加入,適切な労働時間の管理が厳格に求められることになります。

(2)単純作業だけでは不可。WMS(倉庫管理システム)等の利用が必須条件に

「とにかく人手が足りないから,荷物を運ぶだけの作業を任せたい」というニーズは多いですが,国は今回の追加を認めた背景に「物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進」という意図を持っています。

  • 求められる業務内容: ピッキング,仕分け,梱包といった保管作業に加え,ハンディターミナルを用いたWMS(倉庫管理システム)の操作や,在庫管理データの入力といった「管理補助」への従事やシステムの利活用が,要件として課されます。
  • 審査のポイント:ITシステム(これに準ずるシステムを含む)の利活用と,それらと連携した省力化・労働安全衛生向上に資する機器・システムの継続的な利活用が「特定技能所属機関の条件」として明記されました。完全なアナログの現場では要件を満たさないため,システム利活用を前提とした現場構築が不可欠です。また,単にシステムを導入するだけでなく,特定技能協議会の入会から概ね1年を目途に,その利活用の状況を協議会へ報告し,確認を受けることも義務付けられています。

(3)フォークリフト免許の取得と「日本語」の壁

物流倉庫の即戦力として欠かせないのがフォークリフトの操作です。特定技能外国人もフォークリフト業務に従事できますが,ここには大きなハードルが立ちはだかります。

  • 免許取得の難易度: 国内でフォークリフトを運転するには,日本の技能講習を修了し,学科試験をクリアする必要があります。
  • 日本語の壁: 試験は基本的に日本語で行われます。日常会話レベルの日本語能力があっても,専門用語が並ぶ学科試験に落ちてしまうケースは少なくありません。

「フォークリフトが使えないと現場が回らない」という企業様は,入国前からフォークリフトの専門用語を重点的に学習させるなど,独自の教育カリキュラムを組む必要があります。

4.物流倉庫での「特定技能」活用がビジネスにもたらすメリット

「派遣スタッフが定着せず,教育コストばかりがかさんでいないか?」
「現場が常に『今日の人員』を回すことだけに必死になっていないか?」
こうした自転車操業の状態から脱却したいと願う経営者の方にとって,特定技能の導入は単なる人手不足の補填以上の価値を持ちます。厳しい要件をクリアしてでも,今この制度に取り組むべき「攻めのメリット」を整理しましょう。

(1)“2024年問題”の解決と長期安定雇用の確保

物流業界を揺るがしている「2024年問題」の本質は,労働時間の制限によって,これまで通りのやり方では荷物が回らなくなることです。ここで特定技能外国人材が大きな武器になります。

  • 最長5年の安定就労: 特定技能1号は最長5年の在留が可能です。派遣労働のように「明日から来なくなる」リスクを抑え,自社の戦力として長期的に育成できます。
  • 「戦力」としての育成: 直接雇用だからこそ,社内のノウハウをしっかりと伝承でき,自社の戦力として長期的なキャリア形成を支援できる点も強みです。

(2)業務マニュアルの標準化・多言語化による生産性向上

「外国人を受け入れるのは手間がかかる」と思われがちですが,逆にこれが「現場のムダ」を削ぎ落とす絶好のチャンスになります。

特定技能外国人材の受入れは,いわば「現場のOSを最新にアップデートする」行為です。アナログな管理から脱却し,誰が作業しても高い品質を保てる「強い倉庫」へと進化するきっかけになるのです。

5.なぜ特定技能「物流倉庫」のビザ申請は専門家へ相談すべきか

「制度の概要はわかったけれど,結局うちの現場で何から手をつければいいのか……」
「入管のホームページを読んでも,専門用語ばかりで具体的な準備が進まない」

そんな焦りを感じていませんか?

特定技能「物流倉庫」はこれから新設される分野であり,スタート直後は入管の審査官も慎重に書類をチェックすることが予想されます。

(1)複雑な「契約スキーム」と「DX要件」を突破するプロの視点

物流倉庫分野の申請には,他の分野にはない独自の難所がいくつも存在します。

(2)単なる「書類作成」ではない,パートナーとしての支援

  • 「物流現場のリアル」を理解したアドバイス: 現場の忙しさを理解しているからこそ,担当者様の負担を最小限に抑える効率的なヒアリングを行います。
  • 新情報のキャッチアップ: 2027年4月の施行に向け,国から随時発表される「運用要領」の細かいニュアンスをいち早く解析し,お客様の申請に反映させます。

「とりあえず自分でやってみて,ダメだったらプロに頼もう」という判断は,繁忙期までの貴重な数ヶ月を無駄にし,結果として優秀な人材を他社に奪われることになりかねません。

6.特定技能「物流倉庫」に関するよくある質問(FAQ)

「結局,うちは何から始めればいいの?」「こんな細かいケースはどうなるの?」 検討段階に入ると,制度の概要だけでは解決できない具体的な疑問が次々と湧いてくるものです。ここでは,当事務所に寄せられることの多いご質問と,今すぐ取り組むべき対策を簡潔にまとめました。

Q1. 実際の採用はいつから可能になりますか?


A1. 2027年4月からの就労開始を予定しています。 ただし,2027年4月に「即戦力」として配属するためには,2026年度中に行われる技能試験の合格者を確保し,数ヶ月かかるビザ申請を逆算して進める必要があります。「制度が始まってから探す」のでは,他社に優秀な人材をすべて取られてしまうため,今からの準備を強くお勧めします。

Q2. 繁忙期だけ人材派遣で受け入れることはできますか?


A2. できません。特定技能「物流倉庫」は直接雇用が絶対条件です。人材派遣による受け入れは認められておらず,安定した条件での直接雇用(フルタイム)が必須となります。現在,派遣に頼っている現場は,この機会に「自社雇用への切り替え」に向けた労務規定の整備(就業規則の見直し等)に着手しましょう。

Q3. 元請けの倉庫内で作業を請け負っていますが,対象になりますか?


A3. はい,対象になります。 ただし,本文でも触れた通り,委託元(元請け)と「雇用の継続性に関する共同責任の協議書」を締結する必要があります。元請け企業に協力を仰ぐ必要があるため,早めに契約関係の整理を行ってください。

Q4. 製造業の工場内にある倉庫作業は,どちらの分野で申請すべきですか?


A4. 対象となる企業の主たる事業の内容や,当該業務が全体の業務に占める割合などによって判断されることが予想されます。 現時点では明確な境界線の定義が待たれる状況です。判断を誤ると要件不適合とされるリスクがあるため,詳細が確定次第,専門家へご相談いただくことをお勧めします。

Q5. 難しいIT操作は苦手なスタッフが多いのですが,大丈夫でしょうか?


A5. 「単純作業のみ」にならない工夫が必要です。 国の狙いは物流DXの推進です。ハンディターミナルでの検品や在庫管理ソフトへの入力など,何らかのシステム利用を業務に組み込む必要があります。今の作業工程を見直し,「どの部分にシステム操作を組み込めるか」を棚卸しすることから始めてください。

【今すぐやるべきことリスト】
1.現在の業務が「システム利用」を含んでいるか確認する
2.派遣から直接雇用へ切り替えた場合のコストシミュレーションを行う
3.(委託の場合)元請け企業に「特定技能」検討の意向を伝え,協力体制を確認する

7.まとめ:2027年4月のスタートダッシュに向けた次の一手

「2027年なんて,まだ先の話だ」と思っていませんか? あるいは,「要件が複雑すぎて,うちにはハードルが高すぎる」と諦めかけてはいないでしょうか。

特定技能「物流倉庫」分野の追加は,物流業界にとって「人手不足」という慢性的な病を治療するための特効薬になり得ます。しかし,薬に必ず「用法・用量」があるように,この制度も正しく活用しなければ,不許可やコンプライアンス違反という副作用を招きかねません。

今回の重要ポイントを改めて振り返りましょう。

  • 2027年4月施行: 準備(社内規定整備や試験対策)は2026年からスタートします。
  • 派遣利用は不可: 直接雇用への転換と,それに見合う労務管理体制が必要です。
  • DX・システム要件: 単純作業だけではない,付加価値の高い現場作りが求められます。
  • 「協議書」の壁: 委託・受託の関係性を入管に証明する高度な書類作成が必要で
「3年間で11,400人」という限られた枠を奪い合う椅子取りゲームは,すでに始まっています。優秀な外国人材は,制度を熟知し,受け入れ態勢をいち早く整えた企業へと流れていきます。


リネンサプライ

リネンサプライ分野において求められる要件(現行制度)

 技能検定(専門級)の合格が求められますが、この試験を受験するためには、「リネンサプライ職種に関し、24か月以上の実務の経験を有する者」である必要があります。これに関しては、そもそも技能実習計画(2年10ヶ月)を満了しなければならないことを考えれば、特段気にする要件ではないようにも思えます。しかし、ここでいう「実務の経験」とは、衛生基準の認定を受けた施設「認定工場」での実習をいい、認定工場とは、ホテルリネン関係では(一社)日本リネンサプライ協会が定める「衛生基準」、病院寝具関係では(一財)医療関連サービス振興会が定める「認定基準」の認定を受けている工場においての経験を指します。つまり、雇おうとしている技能実習生の就労先が認定工場ではない場合、技能検定(専門級)の受験ができないこととなります。またそもそも、技能実習を修了するまでに、この試験を受験することが義務付けられているため、評価調書の発行もできないこととなり、1号特定技能外国人として、雇用することができなくなってしまうため、注意が必要です。

2027年から開始する育成就労制度との関係(新制度)

 現行の特定技能制度では、技能実習2号良好修了者であれば、技能実習から特定技能1号への移行に際して、技能に係る試験及び日本語能力に係る試験の合格を免除するものとしていますが、育成就労制度では、技能に係る試験(技能検定試験3級等又は特定技能1号評価試験)及び日本語能力に係る試験(日本語能力A2相当以上の試験(日本語能力試験N4等))の合格を特定技能1号への移行の要件とする方針とされています。まだ変更される可能性もありますが、試験の合格が必須の前提となることに注意が必要です。

具体的にできる作業内容(現行制度)

 以下の1~4は、リネンサプライ分野の技能実習2号において行うことのできる作業内容となります。これらの内容から分かるように、リネン工場内での作業がメインとなり、現在配送作業などは想定されていません(下記の5を参照)。そのため特定技能外国人を雇用するに当たり、作業してもらう内容には注意が必要です。とはいえ、特定技能外国人が従事する業務と、同等の業務に従事する日本人が通常従事することとなる業務に関しては、本来作業として想定されていなかったとしても、付随的な業務(関連業務、周辺業務)に従事する活動として許容される場合もあります(専ら付随的な業務に従事することは認められません)。
つまり、多少なりとも企業ごとに行う作業が異なることは制度上の想定であり、この場合、配送作業を行うことは難しいかもしれませんが、リネンの積み下ろし程度なら出荷準備作業(下記3(7))に当たり、可能な場合もあるかもしれません(個別具体的な検討が必要となります)。

1. 仕上げ作業

(1)機械投入作業
実習施設に備えられている、リネン品種(ライン)毎のスプレッダーフィーダー(投入機) 及びフォルダー(畳み機)等の仕上げ機械への正確かつ効率的な投入作業
(2)検品作業
不具合なリネンを取り除き分類するとともに、その不具合に応じて各作業工程の作業方  法、機械の状況等の原因を特定し、ライン内や他部署との連絡調整等の対応を行
(3)結束・包装作業
仕上がったリネンを品種別・サイズ別・客先別等に分類し、所定の枚数及び方法で結束  又は包装する作業
(4)仕上げ作業に伴う機械操作作業(仕上げ作業に使用する全ての機械)
(5)機械メンテナンス作業(仕上げ作業に使用する全ての機械)

2. 安全衛生業務(各業務(必須業務、関連業務及び周辺業務)の10%以上)

3. 関連業務(全体の2分の1以下)

(1)入荷・仕分け作業
(2)洗濯作業
(3)手投入作業
(4)手畳み作業
(5)染み抜き作業
(6)補修作業
(7)出荷準備作業

4 . 周辺業務(全体の3分の1以下)

(1)清掃作業
(2)他部署へリネンの運搬作業
(3)使用資材等の運搬作業

5 .  移行対象職種・作業とはならない業務例

(1)資材管理作業
(2)配送作業
(3)普通洗濯業(クリーニング業)
(4)上記の関連業務及び周辺業務のみの場合

以上が現行制度(技能実習)における業務内容(関連業務・周辺業務を含む)となりますが、今後追加される特定技能1号においては業務範囲がどこまで拡大されるのか動向が注目されておりますので続報を待ちましょう。

まとめ

 以上、リネンサプライ分野の現行制度を基に、求められる要件や可能な作業内容について説明してきましたが、これらの内容は新制度において変更される可能性があります。技能実習制度が廃止され、育成就労制度が2027年より開始されることもあり、正確に予測して動くことは難しいかもしれませんが、現行制度を理解し、新制度の背景を読み解くことで新制度に対する備えができるかもしれません。例えば現段階において新制度上の可能な作業内容がわかっていなくても、現行制度における注意点(同じ分野の中でも就労可能な作業と不可の作業があるなど)を理解していれば、スムーズな新制度の理解にもつながるといえます。


資源循環

特定技能制度で「資源循環」分野が新規追加される背景とは

資源循環分野では、2024年8月2日に「第五次循環型社会形成推進基本計画」が閣議決定されました。第五次循環型社会形成推進基本計画は、循環経済への移行を国家戦略と位置付け、環境課題の同時解決を図るため、資源循環の高度化や国際展開を進めることを目的とした計画です。

2030年度までに、循環型社会ビジネスの市場規模80兆円を目指しています。目標を前提に推計すると、2028年度には約12万2,000人の就業者が必要とされています。しかし、実際の就業者数は約10万5,000人にとどまる見込みです。

資源循環分野のうち、廃棄物処分業(中間処理)分野では、約1万7,000人の不足が生じると推計されています。令和6年度の廃棄物処理業の有効求人倍率は5.35倍と高く、慢性的かつ深刻な人手不足が続いている状況です。

女性や高齢者の起用や処遇改善により約1万2,500人分の不足緩和が見込まれるものの、約4,500人の人手不足が発生する見通しです。

循環型社会の形成と循環経済への移行を進めるにあたり、人手不足を補うために外国人材の受け入れによる人材確保が必要であることが、特定技能に資源循環分野の追加の背景にあります。

出典:法務省「資源循環分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」

特定技能「資源循環」の概要

資源循環とは、使用後に廃棄される物を単なるゴミとして処分するのではなく、再利用や再資源化を通じて資源として繰り返し活用する考え方をさします。「回収・再生・再利用」により、循環型社会を形成することが、資源循環の目的です。

特定技能「資源循環」の分野では、資源循環に関わる業務の従事が認められています。

  • 特定技能「資源循環」分野で従事できる業務は主に産業廃棄物の処分
  • 特定技能「資源循環」分野での受け入れ見込数・運用期間
  • 育成就労での「資源循環」分野の扱い

それぞれを詳しく紹介します。

特定技能「資源循環」分野で従事できる業務は主に産業廃棄物の処分

特定技能資源循環の分野で従事できる業務は、主に廃棄物処理施設における廃棄物の処分(中間処理)に従事する業務です。

具体的には、家庭や事業活動によって排出される廃棄物の中間処理(廃棄物の減量化、減容化、安定化及び安全化)を行う業務への従事が認められています。また、同じ業務に従事する日本人が通常従事する関連業務への従事も可能です。

具体例は以下のとおりです。

  • 破砕・中和・焼却等設備操作
  • 燃え殻集約作業等

出典:法務省「資源循環分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」

特定技能「資源循環」分野での受け入れ見込数・運用期間

資源循環分野全体では、2026年度から2028年度までの3年間の外国人材の受け入れ見込数を4,500人としています。

2028年度に約1万7,000人の人手不足が見込まれていますが、ICT・IoTを活用した廃棄物処理設備の導入によって年平均2.1%程度の生産性向上や、職場環境整備などによる国内人材の追加確保が進められる予定です。

効率化や国内人材確保の取り組みを加味しても約4,500人程度の人材が不足すると見込まれているため、4,500人を受け入れ見込み数に設定しています。

内訳は、2026年度からの3年間に受け入れる1号特定技能外国人が上限900人、2027年度からの2年間に受け入れる育成就労外国人が上限3,600人の合計4,500人です。あくまでも、2028年度末までの上限として運用する方針であり、今後見直しが行われる可能性もあります。

出典:法務省「資源循環分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」

育成就労での「資源循環」分野の扱い

2027年度から開始が予定されている育成就労制度でも、資源循環分野での外国人材の受け入れが予定されています。育成就労制度は3年間の就労を通じて特定技能1号相当の技能者を育成する制度で、将来的には条件を満たすと特定技能1号への移行が可能です。

就労開始までに求められる日本語能力、技能水準のほか、育成就労を修了するまでに求められる水準も別途定められています。

育成就労制度の資源循環分野では、1年目に多種多様な廃棄物の「受入」「選別」「処分」「搬出」を指導者の下で行い、基本的な作業の流れや安全管理などを学びます。

2〜3年目は廃棄物に関する基準等の知識や不適合物の対応や設備の異常発見時の対応など、突発的な判断が求められる作業が行えるようにしていく方針です。

育成就労制度の運用方針は2026年1月23日に、運用要領は2026年2月20日に公表されているため、育成就労制度の資源循環分野で外国人労働者を雇用する予定なら、詳細は事前に確認しておきましょう。

そもそも「特定技能」とは?

本項では特定技能制度を詳しく解説します。

特定技能の概要

日本で就労するには、就労が可能な在留資格が必要です。在留資格は複数の種類があり、特定技能はそのうちの一種です。

特定技能制度は、人材の確保が特に困難な状況にある特定産業分野で、一定の専門性・技能を有する外国人材の受け入れを促進するために国によって創設されました。受け入れ側にとっては、即戦力の人材を雇用できる点がメリットです。

特定技能人材の受け入れが可能な分野

特定技能制度で受け入れられる分野は以下のとおりです。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 工業製品製造業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 自動車運送業
  • 鉄道
  • 林業
  • 木材産業

上記分野のうち自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野は、2024年に新しく追加されました。また、2026年1月23日には「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野の新たな追加が閣議決定されました。この追加により、特定技能制度の対象業種は19分野となります。

特定技能1号と2号の違い

特定技能の在留資格は、1号と2号に分類されます。

特定技能1号は、技能および日本語の検定に合格し取得できます。技能実習を良好に修了し取得する方法も存在します。

ただし、2024年に新しく追加された4分野(自動車運送業、鉄道、林業、木材産業)と、2027年度から追加される3分野(リネンサプライ、物流倉庫、資源循環)は1号のみで、2026年2月時点では2号には含まれていません。

特定技能「資源循環」の在留資格を取得する方法

続いて、特定技能資源循環の在留資格を取得する方法を紹介します。

  • 技能試験および日本語能力の検定に合格する
  • 技能実習2号や育成就労からの移行は可能?
  • 特定技能を取得するために外国人本人が満たすべき要件

それぞれ詳しくみていきましょう。

技能試験および日本語能力の検定に合格する

分野ごとに定められた技能検定および日本語能力検定の両方に合格すると、特定技能1号の在留資格を取得できます。

技能評価試験では、一定の基準以上の点数の獲得が必要です。日本および一部の海外で受験でき、受験できる国や試験の内容は各分野で異なります。試験内容は知識や判断力を問う学科試験のほか、実技試験が含まれる分野も存在します。

特定技能で資源循環分野の在留資格を取得するためには、以下の試験に合格する必要があります。

  • 資源循環分野特定技能1号評価試験の合格
  • 日本語教育の参照枠A2相当以上(例:JFT-Basic合格、またはJLPT N4以上)

日本語教育の参照枠とは、日本語の習得段階に応じて必要な教育内容・方法・評価を示す共通の基盤として策定された枠組みのことで、日本語能力を6段階に分けて設定しています。

A2の定義は「ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応じることができる」です。

熟練度によって各段階が細分化される場合もありますが、特定技能では一般的に「日本語教育の参照枠A2相当」が基準とされています。

出典:文化庁「「日本語教育の参照枠」の概要」

技能実習2号や育成就労からの移行は可能?

特定技能に移行する手段のひとつとして技能実習の良好修了が挙げられます。現行の制度では、特定の分野で技能実習2号を修了した者は、条件を満たすことで同分野の特定技能1号への移行が可能です。

しかし、現行の技能実習制度では資源循環業務を対象とする区分がないため、技能実習から特定技能に移行するルートはありません。

なお、現行の技能実習制度は、転職が規制されていることで外国人労働者の立場が弱くなりやすい点が問題視されており、政府は技能実習制度を廃止し、「育成就労制度」へ移行することを決定しています。育成就労制度は2027年度からスタートする予定です。

育成就労制度では、資源循環分野があり、修了後に条件を満たせば特定技能1号への移行が可能です。

特定技能を取得するために外国人本人が満たすべき要件

特定技能の在留資格を取得する場合、外国人本人が満たすべき共通の基準は以下のとおりです。

  • 18歳以上である
  • 健康状態が良好である
  • 退去強制の円滑な執行に協力する国が発行した有効なパスポートを所持している
  • 保証金を徴収されていない
  • 外国の機関に費用を支払っている場合は、内容に合意している
  • 送り出し国で遵守すべき手続が定められている場合、手続を経ている
  • 食費・居住費など外国人が定期的に負担する費用の内容に合意している。また該当の費用の額が実費相当額その他の適正な額であり、明細書その他の書面が提示されている
  • 分野特有の基準に適合している(※分野所管省庁の定める告示で規定)
  • 特定技能1号の場合、特定技能1号での在留期間が通算5年に達していない

技能実習を修了済み、または検定に合格済みの場合でも、要件を満たさない場合は特定技能の資格を取得できません。

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受け入れる際のポイント」

特定技能「資源循環」分野で外国人材を受け入れるメリット

続いて、資源循環分野で特定技能人材を受け入れる場合のメリットを解説します。

一定水準以上の知識や技能を有した外国人材を確保できる

特定技能人材は、一定水準以上の知識やスキルを採用前に把握できる点が特徴です。日本語能力が高い外国人も多く、教育効率も高まります。特定技能人材は、即戦力を要する事業者と相性の良い人材です。

幅広い業務への従事が可能

技能実習制度では、技能実習生の受け入れ人数に制限があり、所定の人数までしか雇用できません。また、従事できる業務内容が職種・作業ごとに定められています。

特定技能は分野ごとに受入れ見込み数(上限)が設定されていますが、企業ごとの人数枠は原則設けられていません。技能実習と比較して幅広い業務に従事でき、人手不足が深刻な分野では大きなメリットです。

長期の雇用が期待できる

特定技能1号の在留期間は通算5年までです。

また、2号は在留期間が無期限化します。人材の定着は受け入れ側にもメリットです。結果として、採用コストの削減効果も見込めます。

特定技能は、すでに日本に在留している外国人も取得できるため、取得が見込まれる人材がいれば移行を促してみるのも良いでしょう。

ただし、現時点で資源循環分野の特定技能2号は発表されていません。しかし、過去には制度の見直しにより2号が追加された分野もあるため、資源循環分野でも今後2号が追加される可能性があります。

特定技能は制度の見直しが定期的に行われているため、最新の情報をチェックすることが大切です。

特定技能「資源循環」で外国人材を受け入れる際の注意点

資源循環分野で特定技能外国人労働者を受け入れる際の注意点として、以下を紹介します。

  • 特定技能受け入れ機関の基準
  • 特定技能外国人の受け入れ後に企業がやらなければならないことは?

特定技能受け入れ機関の基準

特定技能人材の受け入れ機関が満たすべき基準は以下のとおりです。

  1. 外国人と締結する雇用契約が適切である(記載すべき事項が揃っており、賃金水準は日本人と同等以上)
  2. 受け入れ機関自体が適切である(法令を遵守している・欠格事由に該当しないなど)
  3. 外国人を支援する体制がある
  4. 外国人を支援する計画が適切である(受け入れ機関は、1号特定技能人材を支援する計画を作成し、計画に基づいた支援の実施が必要)

加えて、資源循環分野特有の事業を鑑みて講じられる措置は以下のとおりです。

  1. 定められた要件のいずれかに該当する事業者であること
  2. 環境大臣が設置する特定技能協議会の構成員であること
  3. 協議会で合意された事項に基づく措置を講じること
  4. 協議会が実施する情報提供、意見聴取、調査等に必要な協力を行うこと
  5. 環境省による調査・指導等に協力すること
  6. 支援計画を登録支援機関へ全面委託する場合は、上記協力義務を履行できる機関へ委託すること
  7. 雇用契約に基づく実務に従事した外国人から求めがあった場合、実務経験証明書を交付すること

「定められた要件」は、法務省の資料※(別添(第二2及び第三4関係))で確認可能です。廃棄物処理法で定められた業者であることや、該当の認定を受けていることが必要など、細かく規定されているので、確認しておきましょう。

※出典:法務省「資源循環分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針」

特定技能外国人の受け入れ後に企業がやらなければならないことは?

特定技能人材の受け入れ機関には一般的に以下の義務が課されます。

  • 外国人と締結した雇用契約を確実に履行する
  • 外国人への支援を適切に実施する(1号のみ)
  • 出入国在留管理庁およびハローワークへの各種届出
  • 報酬は預貯金口座への振込に限定する

上記は特定技能を受け入れる機関の義務です。怠ると、外国人の雇用ができなくなるほか、行政から指導や改善命令を受ける対象になります。また、各種届出を怠ったり、虚偽の届出を行ったりすると罰則の対象になるため注意しましょう。

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